繰り上がりでつまずくのは、なぜか
2 + 5 に答えられる子が 7 + 5 で止まるのは、数が大きいからではありません。繰り上がりを3つの手順に分けて見ると、どこで止まっているかが見えます。
1から9までの段に、1から9までを掛ける。9 × 9 で81通りです。
子どもにとっては、これが最初に出会う「覚えるしかないもの」の山になります。
ただし、覚える量は見た目の半分です。
3 × 7 と 7 × 3 は、どちらも 21 です。かける順序を変えても
答えは変わらない——交換法則です。この組を1つと数え直すと、81通りは45通りになります。
さらに、1の段は掛けた数がそのまま出てきます。2の段は倍にするだけ、5の段は 一の位が 0 と 5 で交互に並び、9の段は十の位と一の位を足すと必ず 9 になる。 手がかりの無い、本当に覚えるしかない組は、実はもっと少ないということです。
この数え直しが役に立つのは、子どもに「あと何個」を示せるからです。 81個と言われると終わりが見えませんが、手がかりのある段を外していけば、 残りは数えられる量になります。
最後まで残るのは、たいてい 6・7・8 の段の、しかも互いに掛け合わせたところです。
6 × 7、7 × 8、8 × 6。手がかりが無く、
答えも大きく、似た数が並ぶので取り違えやすい。
つまり、九九が「できない」ことはあまりなく、たいていは特定の数か所だけが抜けている。 全体を最初から唱え直させても、その数か所に当たるのは一巡に1回だけです。
日本の小学校では、九九を声に出して唱えて覚えます。読みかたが短くなるように
音が調整されていて、7 × 8 は「しちは ごじゅうろく」。
計算ではなく、歌の一節として頭に入ります。
この方法の強みは、思い出すのに計算が要らないことです。弱みは、唱える順でしか
出てこなくなることで、56 ÷ 7 を聞かれて詰まる子は、たいてい
7の段を頭から唱え直しています。順に関係なく引き出せるかどうかは、別の練習になります。
抜けているのが数か所だけなら、記録も数か所の単位で残っていないと役に立ちません。 「かけ算が苦手」では、どこを繰り返せばいいのか分からない。
このドリルがかけ算を11種類に分けているのは、そのためです。 段ごとに9種類、それに2桁を含むものが2種類。「7の段だけが出てこない」という状態が、 そのまま記録に残ります。分けかたの全体は42種類の一覧にあります。
2 × 13 と 13 × 2 も、別の種類として数えています。
答えは同じでも、前者は「2を13回」、後者は「13を2回」で、
子どもが実際にやる手つきが違うからです。交換法則を知っていれば同じものですが、
それを知っているかどうかがまさに分かれ目になります。
九九が終わると、かけ算は2桁に入ります。ただし、このドリルが2桁で出すのは
答えが100より小さいものだけです(2 × 13 のような形)。
筆算に入る前の、暗算で届く範囲を厚くするためです。
わり算も同じ形で並べてあります。56 ÷ 7 が九九の裏返しである以上、
7の段が出てこない子は、わり算のその行でも同じように止まります。
つまずいている場所は1つで、現れる場所が2つあるということです。
ほかの読み物
2 + 5 に答えられる子が 7 + 5 で止まるのは、数が大きいからではありません。繰り上がりを3つの手順に分けて見ると、どこで止まっているかが見えます。
□ + 5 = 12 は、たし算の顔をしたひき算です。解くには「=」を「答えを書くところ」ではなく、左右が等しいと読めている必要があります。
まちがえる・解けるが遅い・しばらく触れていない。3つの顔を1つの数にする方法と、苦手なものばかりを出さないために足したもの。
4秒と10秒という基準をどこから引いたか。そして、時間を測る練習が算数を怖がらせるという批判に、どう折り合いをつけたか。
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